“闇ポップシンガーソングライター”
しずくだうみ3rd E.P.『透明コンプレックス』
2015年6月13日ライブ会場にて発売
ディスクユニオン(6/26〜)、Amazon、Bridge INC 通販、OTOTOY配信などで順次発売。
収録曲
1.ゲーム
2.血のインクといちょうの木
3.いじわるなきみのこと
4.さようなら
全ての曲の作詞作曲はしずくだうみが行い、アレンジ・レコーディングなどを、ゲーム音楽やバンド・野獣のリリアンなどで知られる吉田仁郎が担当。
初の全国流通版の前作「泳げない街」に比べ楽器の数が少ないため、弾き語りの要素が大きく前面に出ており、
より一層、しずくだうみが自称する「闇ポップ」な歌詞が際立つ作品となった。
All songs are written by Umi Shizukuda.
All songs are recorded, mixed, mastered, arranged
by Jiro Yoshida.
jacket photo by Tansu, Takako Iimoto.
jacket design by Izumi.N
costume coordination by MONDE☆
special thanks: Kyo,Tsugumi Shizukuda, cafe arie, Midori Yabana, Fumina Ogawa.
2015 Shizukuda Umi. All right reserved.
しずくだ うみ
3rd E.P. 透明コンプレックス
コメント
別れなんていうのは、何もないくらいが僕なんかにはちょうどいい。湿っぽさもぶつけどころのないモヤモヤも全部嘘っぱちだ。
でももし、しずくだうみと恋に落ちたら、どんなさようならが待っているのだろうか。きっと、何もない別れが物足りなく思えるくらい、とんでもないさようならかもしれない。
ほんとうはなんのくったくもなく笑って、通じ合っていられたら、信じられたら。もとめるものが手の上でかたちになってはっきりすくいとれたら。あなたがわたしを純粋にただ見ていてくれたら、わたしがあなたをただ純粋にもとめられたら。せかいは不純物だらけで、透き通った目で見たら歪んで見えてしまうのかもしれない。しずくだうみちゃんの感性が、うたごえが、生きるとき、ごまかしていくものをあらわにしていく、それはわたしにとって救いみたいな気がした。
相関関係をナイフで断ち切るのは一瞬で済む。
それを迷いやら未練やらが邪魔して決断に幾年月を経たり、一思いにぶった切ったり、結局断ち切らずそのままであり続けたりと、人間としていきるというのはかくも難しい。そんなことばかり繰り返しているうちにナイフは錆び付いて身体は鎖で巻かれているみたくなっちまう。
しずくだうみの歌う現在・過去・未来のなかでは時に突き刺し、時に捨て去り、またある時は巻かれた鎖を解くために、そのナイフがいつも研ぎ澄まされている。闇の中でもそのナイフの輝きは、誰かの道しるべとなる。
ポップのメインストリームは、いつの時代、どの場所にあっても、大衆の欲望や不幸を反映したものである。
その意味では、しずくだうみの諦念に満ちて物分かりが良く、それゆえに多くの引っ掛かりを持つ歌は、爆発的に売れることはないであろう(少なくとも現在までの作品に関しては)。しかし歌というのは何を歌うのも自由であり、また、彼女が静かな支持を得ているのも確かである。
声高に欲望を叫ぶなんてはしたない、本質的で批評的な呟きを交わす中で丁寧にコミュニケーションを取りたい、という音楽ファンがどれだけ存在するのか判らないが、そうした層にはかけがえのない音楽として響くだろう。落ち着いたピアノの音色と、慎重過ぎて逆につっかえそうな歌声を中心にした過不足ないアンサンブルは、これまでで最も等身大といえる作品かもしれない。
20年ほど前「日本のベレー帽人口は10万人くらいいるのではないか、その人達に確実に届けたい」といった発言をして、いわゆる渋谷系(ひいてはその後の日本のポップ)を牽引したグループがいた。しずくだうみにとっての「ベレー帽」とは何だろう、と考えながら、歌詞に登場しない『透明コンプレックス』というタイトルを頭の中で転がしている。
購入特典
ライブ会場特典:血のインクちゃんシール
流通特典:モノクロ透明コンプレックスシール
OTOTOY特典:手書き歌詞カードPDF